斉藤和義 - 海に出かけた

海の見える街から車を飛ばして2時間半。
「帰ってきたぞ」と、つい独り言を呟いてしまう。
まずPCの電源を入れ、メールのチェックをする。毎日100〜200通のメールが受信箱の中から私に圧力をかける。ある者は苛立ち、またある者は冷たく笑いながら。
その中の1通に赤ん坊の写真があった。
アルプスの麓で鉄を打っている友人からのメールであった。
産まれたとの報告である。
私はじっと写真を見つめた。とりあえずトイレに行き、戻ってきてまた写真を見つめた。ちょっと落ち着こうと、とりあえずビールを飲み、また写真を見つめた。
見れば見るほど赤ん坊の顔が友人に見えた。
それも出会った頃の、23年前の彼の顔に見えた。
思わず笑ってしまったので、彼に「おめでとう」とメールを送った。
始まりの鐘が鳴り 君と海に出かけた
大きな橋を渡り 君と海に出かけた
友人のメールにも書いたのだが、時の流れの偉大さというのはこいうときに感じる。
未だに我々の会話は20数年間まったく進歩しておらず、行き着くところは小山卓治とオグリキャップである。
私は中学生のときの彼に話しているし、彼もまた同じであろう。
ただ、いつしか学生服がスーツに変り、体脂肪が増え、周りに家族を持つようになる。
それはごく自然のことで、その中に23年前の自分たちの存在を確認できるのは素晴らしいことである。
やはりビールを飲み、もう一度、赤ん坊の写真を見てみた。
今日は奥さんの顔が浮かんで見えた。
少し安堵した。ベイビーは女の子である。
生まれたばかりの始まりは行く
あなたの願い事と同じだと思う
この場を借りてもう一度、友人と奥さんと赤ん坊に「おめでとう」の言葉を伝えます。
今夜もうまい酒が飲めます。
赤く色づき始めた京都の空の下より、祝杯の鐘を鳴らし・・・。
そして彼らに「海に出かけた」という曲を捧げます。
八朔
スピッツ - 田舎の生活

なんて美しい歌であろう。
幼い頃に見た儚い夢や、いつの間にか忘れてしまった本当はいちばん大切なことが、その穏やかな流れの中にしっかり存在することを確信させられてしまうような歌である。
滑らかに澄んだ沢の水、懐かしく香る午後の風、野ウサギの走り抜ける様と光る笹百合の花の姿、夜空に瞬く星の群れ。
あたり前に目に入る景色を胸にして思う「必ず」の無邪気さと、窓の外の君に向けた「さよなら」の切なさ。
織り合わせられた思いの果てにある「生きる」姿が実に感動的である。
田舎というものは生まれ育った場所ではなく、人間が最後に帰る場所なのだと思う。
そこに「君」がいることで調べは美しく流れ、極上のラブソングになる。
そして「さよなら」という言葉がより思いを深める。
まるで死へ向う人のような穏やかな歌声が、時折聴く側をハッとさせる。
「今」から向う場所は「いつか」なのだろうか。
雨の上がった田舎道、見渡す限りの緑と遠くの山に流れていく雲の姿をワイパー越しに眺めながら、ぼんやりとこの歌を聴いていた。
八朔
ROLLING CIRCUS REVUE
そういえば昔は「CIRCUS & CIRCUS」だったなと感慨に耽った人はかなりのオッサンであろう。
やがて「BEATNIK」へと続き、「PARTY」として弾けたのはもう20年も前の話。
甲斐よしひろのTUORが始まった。
「ROLLING CIRCUS REVUE」
このタイトルを耳にしたとき私の中で止まっていた何かが動き出したような気がする。
初日のオープニングは「25時の追跡」。奏でるギタリストは松藤英男。
そうか、松藤、弾いちまったか、すげえなぁ、松藤。
ここで登場するのが田中一郎ではなく松藤英男であるあたりが、今回のTOURの重要な点であろう。
今回は全曲、甲斐バンド。これは何だ?
レコードを引っぱりだして懐かしのあの曲を聴いてみるか。
いや、そんな女々しいことはするまい。私の中には20年前から残っている最高級の音がある。あのとき甲斐バンドが残してくれた音楽があるのだ。
とりあえず松藤万歳。
八朔
恐怖の海賊音源第3弾

めまいがします。頭が痛く、吐き気も少々。心なしか指先が震えるような気もします。
小さい頃から落ちている物は食うなと教えられ、それを実践してきたし、ウチにはインフルエンザを抱えた鶏もいない。もしや、アスペスト? と疑ってみるものの決定打にはならない。
う〜ん、と思案尽きた、そのとき、視界の片隅に潜む物体が・・・。
おおっ!!
なんと、小山卓治の「Bootleg!」長野エディションがあるではないか。
この危険極まりないブツが隔離はおろか、殺菌、消毒もされず無造作にテーブルの上に置かれているとは!
何を隠そうこのCD-Rに収められた音源は、全国170人の小山卓治ファンの頭を抱えさせ、(理由はともかく)涙させるいわくのベギラゴンである。
長野在住の友人が帰省時に届けてくれた一品。
さて、どうしたものか。
ちなみに私のステレオはまだ買って2年しか経っていない。
昔、難聴で耳鼻科に通ったことがあるが、今や閻魔大王の寝言も聞こえるほどの地獄耳である。
コピー用紙に印刷された「定価1500円」の文字が私の視力を奪い取るほどに眩しい。
さて、どうする?
私は馬券を買うとき以外、優柔不断ではないのだが、このブツは私の心を蝕んでしまう。
と言いながら、ついに今この瞬間、再生してしまいました。
そして私は見た。お客さんの顔が一瞬険しくなるのを。
友達よ、もし君が旅に出て、小山に会ったら伝えてほしい
俺は相変わらず元気にやってると
もう買うことはないだろうと
-Onceより-
嘘です。ありがとう。大事にします。
八朔
小山卓治の手作りCD

LIVE会場と公式サイトのみで販売している小山卓治のCDが届きました。
「Bootleg!」と題されたこの2枚のCD、なんとCD-Rである。しかも受注生産。注文がきてから秋葉原へ台湾製メディアを買いに走り、部屋へ戻ってPCを立ち上げ、48倍速ドライブで焼き上げる。もちろん1枚1枚直筆サインを入れることは忘れないが、プラケースは付けない。
キャリア20年を誇るプロのミュージシャンが考案実践した究極の家内製手工業。こんなことをやりだしたら今夜のトンネル工事など馬鹿馬鹿しくて行ってられない。まばらな客相手のライヴなどもっての他である。
しかし私のように小山卓治に20年も付き合い、人生の角度を15度ぐらい変えられた人間にとって、このCD-Rは実にありがたいものである。
今、このディスクを手にし、年々痩せ細っていく小山卓治、いつもアコースティックライヴでバンドが付かない小山卓治の姿を思いながら、さて、普通に聴いていいものか、と思案しているところである。
やはり除霊、祈祷を済まし、身を清めてから聴くべきであろうか。飲み食いはおろか、運転中のBGMなどに使用したら祟られることは間違いない。コピーなどしようものなら孫の代まで呪われる。
恐しくてまったく聴けないこのCD-R、よく見るとVol.1、Vol.2と記されている。
ということはVol.275とかVol.492とかも出るのであろうか。
そうなると台湾の電子メーカーあたりの役員に名を連ね、ますます生歌が聴けなくなるのではないだろうか。
思いをめぐらせばキリがない。小山卓治が何か事を起こすと、いつも私は先々まで考えてしまう。ロンドンのテロは・・・関係ないよな。
八朔
PARTY 30

甲斐よしひろのDVD「PARTY 30」を買いました。
文字通りデビュー30周年LIVEを収録した記念盤。甲斐よしひろの音楽人生にほとんど絡んでいない人たちが多数ゲスト参加しています。
このLIVEの甲斐よしひろは近年にはないほど声がよく出ています。それなりの気持ちでやれば、このオッサンはそれなりの仕事をします。
かつての甲斐バンドが醸していた緊張感は皆無ですが、やっぱりあの時代の音楽にはグッとくるものがあります。
ええ、私はオッサンですよ。
「昔は『破れたハート』のときは甲斐の横で松藤が歌ってたんだよなぁ・・・、今じゃ変なオッサンが立ってるけど・・・、えっ?! これ松藤やん!!!」
松藤英男がいました。いつもいるけど。
アンコールでは田中一郎も登場します。
武道館を夜空に変えるミラーボール、甲斐の突き刺さるような叫び、そして一郎と蘭丸の激しいギターバトル。
おおっ、カッチョええ!
大森信和はいないけれど、平均体重1.5倍の甲斐バンドは今も健在でした。
八朔







音楽 コメント(0) トラックバック(0)